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Case study · 04

Research

感情推定研究

耳周辺の信号から、日常の感情へ近づく

感情推定で広く使われる心拍や皮膚電気活動とは異なる、耳周辺の生理指標に着目した研究です。研究室で測れることだけでなく、将来ウェアラブルとして日常利用できる装着位置・測定手順・評価方法まで一体で考えました。

04

装着しやすい計測位置 / ノイズに強い処理 / 個人差を考慮した評価

FIELDResearch
TOOLS生体信号計測 · 信号処理 · 統計・機械学習 · 実験設計
FOCUS装着しやすい計測位置 · ノイズに強い処理 · 個人差を考慮した評価
01

What it does

できること

01

耳周辺という計測位置

日常的にイヤホンや眼鏡を装着する位置に近く、手や胸を占有しにくい点に可能性があります。一方で信号が小さく、装着圧や動作の影響を受けるため、測定のしやすさと信頼性を同時に評価します。

  • 装着位置を写真または図で固定
  • 左右・接触圧・皮膚状態を記録
  • 長時間装着時の違和感も評価項目に含める
02

感情ラベルと信号を同期

刺激を提示する前の安静区間、刺激中、回答区間を同じ時系列で記録します。感情は『正解』を外から決めず、参加者自身のvalence(快・不快)とarousal(覚醒度)などの回答を教師ラベルとして扱います。

  • 刺激開始・終了の時刻を記録
  • 主観評価尺度を実験前に統一
  • 信号と回答を匿名IDで対応付ける
03

再現できる分析パイプライン

生信号をそのまま学習させるのではなく、欠損確認、ノイズ除去、区間分割、特徴量抽出、評価の順に処理します。どの段階でデータが除外されたかを残し、分析をやり直せる形にします。

  • フィルタ条件と除外基準を保存
  • 時間領域・周波数領域の特徴を比較
  • 参加者をまたいだ検証でデータ漏洩を防ぐ
02

Why I made it

きっかけと課題

感情推定では心拍、脳波、皮膚電気活動などが多く利用されています。しかし、センサー位置や装着の負担によって、実験室では測れても日常生活で継続利用しにくい場合があります。

そこで『別の生理指標なら精度が上がるか』だけでなく、『毎日装着できる場所から、どこまで感情に関連する変化を捉えられるか』を研究課題にしました。精度、装着性、ノイズ耐性の三つを分けずに検討することが出発点です。

03

Process

進め方・実装手順

  1. 01

    研究質問を固定

    対象とする感情の軸、耳周辺で測る指標、比較対象、評価指標を一文で定義します。分析後に都合よく目的を変えないための基準です。

    OUTPUT — 研究質問と仮説
  2. 02

    測定手順を標準化

    装着位置、接触状態、サンプリング、安静時間、刺激提示、主観回答の順番を手順書にします。実験者が変わっても同じ条件に近づけます。

    OUTPUT — 実験プロトコル
  3. 03

    時刻を同期して記録

    刺激イベントと生理信号へ共通の時刻またはマーカーを付け、どの信号区間がどの回答に対応するか追跡できるようにします。

    OUTPUT — 匿名化した時系列データ
  4. 04

    前処理と特徴抽出

    欠損、急激な飛び、ドリフト、動作区間を確認し、目的に合うフィルタと窓幅を決めます。平均、変動、傾き、周波数成分などを候補にします。

    OUTPUT — 再実行可能な分析手順
  5. 05

    個人差を含めて評価

    精度だけでなく、混同行列、F1、ベースラインとの差を確認します。同一人物のデータが学習と評価へ混ざらない分割も比較します。

    OUTPUT — 評価表と限界の整理
04

Problems & decisions

苦労したこと

01指標の意味づけ
PROBLEM

耳周辺の変化が感情だけを反映しているとは限らず、温度、体動、装着圧など複数の要因が影響します。

APPROACH

先行研究から想定される生理反応を整理し、安静区間との差、主観評価との対応、交絡要因を別々に記録しました。

RESULT

相関をそのまま因果と呼ばず、どこまで言えるかを限定して考察できる構成にしました。

02計測の安定性
PROBLEM

装着位置が数ミリ変わるだけでも値が変化し、会話や表情、頭の動きがノイズになります。

APPROACH

位置決めの基準、装着写真、開始前の信号確認、動作記録、除外基準を手順に組み込みました。

RESULT

後から都合よくデータを選ぶのではなく、測定前に品質基準を共有できるようになりました。

03感情に正解がない
PROBLEM

同じ刺激でも人によって感じ方が異なるため、刺激カテゴリだけを正解ラベルにすると本人の体験とずれます。

APPROACH

各試行後の主観評価を中心にし、刺激カテゴリは補助情報として扱います。連続値と分類の両方を比較できる形で保存しました。

RESULT

個人差を誤差として消すのではなく、研究対象の一部として扱えるようにしました。

04評価データの漏洩
PROBLEM

同じ参加者の似た区間が学習とテストへ入ると、感情ではなく個人の特徴を覚えて高い精度に見える可能性があります。

APPROACH

区間のランダム分割だけでなく、参加者単位で分ける検証を用意し、単純な多数派予測とも比較します。

RESULT

未知の人にも使える可能性と、個人内で調整した場合の性能を分けて議論できます。

05

Reproduction guide

再現するための手順

未来の自分や、同じものを作りたい人が迷わないように、最短の再現手順を残します。

1. 倫理・同意・匿名化を先に設計

生体信号は個人情報として慎重に扱います。目的、保存期間、撤回方法、刺激による負担を説明し、研究機関の規程に従って承認と同意を得ます。

2. 小規模な予備実験を行う

本実験の前に装着性、信号振幅、同期ずれ、回答時間を確認します。予備実験で決めた除外基準と変更点を記録します。

3. 生データを変更せず保存

元信号は読み取り専用で保持し、前処理後データは別ファイルとして出力します。設定値、ソフトウェア版、実験IDを分析結果へ紐づけます。

4. ベースラインから評価

まず平均値や多数派など単純な予測を基準にし、その後に複雑なモデルを比較します。交差検証は参加者単位を基本とし、平均だけでなくばらつきも報告します。

5. 再現ノートを残す

採用した条件だけでなく、試して採用しなかったフィルタ、窓幅、特徴量と理由も残します。未来の自分が同じ結論へたどれることを完成条件にします。

06

Reflection

振り返り

WHAT I LEARNED

  • 新規性は珍しいセンサーだけでなく、測定から評価までの妥当性で支える
  • 主観評価と生理信号のずれも重要な結果になる
  • 高い精度より、データ分割・除外基準・限界を説明できることが研究の信頼性につながる
NEXT STEP

今後は測定条件と参加者数を拡張し、日常動作を含む環境での頑健性、個人ごとの校正量、装着感とのトレードオフを評価したいです。現段階では可能性を検討するための手順設計が主な成果であり、医療用途の判定を目的とするものではありません。

NEXT PROJECT

Web Design / Development

個人ホームページ

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